電縫鋼管の溝状腐食


電縫鋼管の溶接線に沿って、溝状に浸食される腐食の形態を言い、一直線に連続的な溝を形成する場合と錆瘤下に見られる様に、溶接線がより深く侵され不連続な溝を形成する場合があります。溝状腐食は水質、流速、溶存酸素など環境条件により、発生する場合としない場合があり、一般には、給排水管、冷却水管など開放系の配管に発生しやすく、また、発生する場合は腐食速度は大きく、1mm/年程度に及びます。

電縫鋼管の電縫部は、溶接の際、急熱急冷されるため鋼中の硫化物等の性状が変化し、母材部と腐食特性が異なる様になります。直線タイプの溝状腐食では電縫部がアノードとなりガルパニック的作用により腐食をうけます。また、錆瘤下では、その下の母材と電縫部が同時に腐食します。溶解性に差があるため電縫部が深い浸食を受けます。

設備工事で多用される配管用炭素鋼鋼管は、製造法により、電縫鋼管と鍛接鋼管に分けられます。鍛接鋼管には、上述の溝状腐食感受性がありませんので100A以下の配管については鍛接鋼管を、鍛接鋼管が製造されていない125A以上については、溝状腐食対策を施した耐溝状腐食電縫鋼管がメーカ各社から市販されているので、開放系など腐食環境が悪い配管では、これらを採用すべきと考えます。




青銅バルブ 黄銅製弁棒の脱亜鉛腐食
昭和50年代の始め頃より、主として給湯系統の青銅製バルブの弁棒が竣工後2〜3年で折損する事故が多発する様になりました。これは脱亜鉛腐食と呼ばれる腐食形態であり、従来は海水や、酸性の高い工業用水、井水を使用する系のみで見られるものでした。

当時、JIS青銅バルブの弁棒は、鍛造用黄銅棒が使われていましたが、水質の低下に伴い黄銅中の亜鉛と銅が局部電池(ミクロセル)を形成し、陽極となる亜鉛が選択的に金属イオンとなって溶出するため強度が減じ、ついには折損に至るものです。腐食要因としては、水温が高いこと(60〜80℃)ほか、溶存酸素、遊離炭酸、塩素イオン、硫酸イオン等が影響を与えると言われています。弁棒の脱亜鉛腐食は、幸いにも原因がはっきりしているためメーカーの対応もはやく、現在は亜鉛の含有量を減らし錫等を添加した、耐脱亜鉛対策用黄銅材料、又は、青銅棒(BC-6)の採用により、解決しています。





マクロセル腐食


ミクロセル腐食が、金属表面の微視的な電池作用による腐食であるのに対して、配管管路の中で、相対的に自然電位の卑な部分(陽極部)と貴な部分(陰極部)が存在し、これらが巨視的な電池(マクロセル)を形成して陽極部(アノード)の腐食が進行していくものをマクロセル腐食と呼び、次の様な特徴があります。

@ミクロセル腐食と異なり陽極部(アノード)と陰極部(カソード)が明確に分離している。

A腐食の駆動力が極めて大きくC/S系マクロセル(後述)では、最大0.7V程度になり得る。

B腐食速度は 陰極部面積/陽極部面積比、土壌比抵抗、極間距離が関係するが、特に面積比が大きく影響する。

マクロセル腐食の代表例として、次の様なタイプがあります。
@通気差マクロセル
A異種金属接続マクロセル
Bコンクリート/土壌系マクロセル腐食(C/S系マクロセル腐食)